豊友会で作る経営指針書(他の勉強会との違い)
豊友会は経営指針書を作る会と言いましたが、他の経営者の勉強会と大きく違うところがあります。それは、経営指針書に「心情」と「信条」があるところです。
経営者が指針を定める第一歩として、自分の過去を検証すること(心情)から始まり、今後どう生きていくかを決断(信条)した上で、経営理念、経営方針など会社全体の志として昇華させます。この部分を徹底的に突き詰めるのが豊友会です。特に岡山香川豊友会では、ここを非常に重視しています。心情から生き様である信条を導き出し、そこから理念までの繋がりの中に一貫性が見られない場合、先輩方から厳しいコメントが返ってきます。そのため、時には、涙を流しながら発表される経営者もいます。これが他の経営者の勉強会と大きく違う部分です。
さらに、経営分析を通じて自社の現状を正しく理解し、課題を明確にします。長期ビジョンから逆算して考え、外部戦略、内部戦略、財務戦略の3つの戦略の方針を定め、豊かな経営の継続、発展を目指して行きます。これらのことを経営指針書としてまとめていきます。この理念までの土台の部分がしっかりと固まっているからこそ、長期ビジョン以降の計画がしっかりとブレないものになるのです。
豊友会の経営指針書が心情から始まる理由
豊友会では、経営理念を構築したり、先代から引き継いだ理念をリニューアルしたりする場合には、必ず、自分の性格や価値観、信条、また夢や様々な想いを内省し分析し、文章として可視化する作業を行います。特に性格は、幼少期にどのような体験をしたかにより大きく影響を受けます。ですから豊友会では、幼少期の出来事から感じた様々な感情(成功体験よりも、特に負の感情)を赤裸々に書き出し発表します。そのためには、過去に経験した振り返りたくない出来事……病気や闘病、恨み辛み、差別・イジメ、親からの理不尽な扱い、コンプレックスなどの過去の自分(トラウマ)に向き合わなければなりません。そして、その原因を突き止め、解消することで、人としての器、経営者としての器を広げていきます。なぜなら、「会社は、社長の器以上に大きくも、良くもならない」「人の器と性格には、相関関係がある」からです。そして最も大切なのは、「その人の運命は、その人の性格の中にあり、何かを成し遂げるのは、その人の才能でなく性格である」からです。そして性格とは、考え方や行動、習慣やクセの源だからです。
豊友会で心情を発表(自己開示)すると、みなさんからフィードバック(アドバイスや助言、時には苦言)がもらえます。それを素直に聴き、再度内省することで無意識の内にやっていた性格のクセ・考え方の習慣を知ることができます。これが豊友会が大切にしている「心情」のプロセスです。このプロセスを経て、これからの自分はこう生きる!と決断し宣言したものが「信条」となります。この信条を通じて理念が構築されます。
例えば、幼少期に貧乏な生活をしていた経営者は、お金への執着が強く儲け第一主義に走りやすくなります。極端になると違法なモノを売ったり、脱税したり、法律を破ってでも儲かれば良いという価値観(≒信条)を持ってしまいます。そこまで行かなくても、品質と価格が見合わない商品であったり、低賃金で働かせたりといった経営に走りがちです。
しかし、心情で自己開示をし、周りからのフィードバックを謙虚に受け止め、自分の性格のクセを解消できていたなら、その経営者の信条が変わってきます。ひょっとしたら、貧乏な生活を恥ずかしく思っていたことをトラウマだと勘違いしていただけで、本当は、家が貧乏だから両親が共働きをしており、いつも一人で留守番をしていたことが寂しかったのかもしれません。それを、お金があれば全て解決すると思い込んでいただけかもしれないのです。そうなると、その人の信条は、家族がいつも一緒に居て幸せを感じられるというものになるでしょうし、会社経営でも、残業が少なく、多様な働き方を認める働きやすい職場を目指すものになるかもしれません。
これが、心情のプロセスが人間性を一段上に引き上げ、社会性を帯びた理念へと昇華する事例です。ここに、心情を開示し、信条を経て理念に至るプロセスを大切にしている理由があります。ちなみに、岡山香川豊友会では、オブザーバーとして参加した社員の方も、心情の発表や、人生指針書の作成をしています。
心情を発表する効果は、ジョハリの窓で捉えるとわかりやすい。
「ジョハリの窓」というフレームワークをご存知でしょうか。ジョハリの窓は、サンフランシスコ州立大学の心理学者ジョセフ・ルフト (Joseph Luft) とハリ・インガム (Harry Ingham)が開発した自己分析ツールで、自分と他人の認識のズレを理解することができるフレームワークです。自分の性格は自分が一番よく知っていると思い込んでいる人は多いでしょう。しかし実際は、自分のことだからこそ自分には見えない性格も多いものなのです。
その自分が知らない、そして他人が知っている性格や考え方の癖(特徴)は、「盲目の窓」と呼ばれる部分にあります。この自分では認識できていない性格や考え方の癖(特徴)を気づかせてくれるのが、豊友会の仲間たちからのフィードバックです。
また、「秘密の窓」にあるトラウマは、特に人間関係において時に“悪さ”をしでかします。それを未然に防ぐためにも、自分の感情や考え方の癖(特徴)を知っておかなければならないのです。豊友会での心情の発表というプロセスは、ジョハリの窓の実践でもあるのです。
※豊友会の例会で、参加者が過去の自分を自己開示できるのは、守秘義務が徹底されているからです。安心安全な環境があればこそできる自己開示のプロセスです。
短期勉強会のご案内
短期勉強会は、主に決算書の見方がわからない方、数字が苦手な方、入会間が無い方が、基本を学ぶ場となっています。
1年間をかけて、偶数月には「粗利益と固定費」「粗利益と労働生産性」「投資と減価償却費」「投資と営業キャッシュフロー」「法人税と自己資本」「借入金と返済(財務)」を学び、奇数月には、先輩の経験談からより実践的なケーススタディを通して学びを深めていきます。
参加資格は、岡山香川豊友会の会員および経営幹部(例会参加者)となっており、年間の定員は10名です。